■ 有限会社コンクリート診断技術ブレーンセンター
受講者様に聞く-PC関連会社 代表取締役 結城重治様(仮名)


いままでやって来たことは何だったのかと…、それほど新鮮な指導内容でした



都内で会社を経営する結城重治さんは、67歳にしてコンクリート診断士試験に合格した。今後は、PC構造物の施工管理といった得意分野に加え、点検、調査の仕事にも携わり、広く社会のために貢献していきたいと話している。
この資格を手にした価値は非常に大、まだ5年はやりたいと抱負を明かす結城様に、診断士取得までの来し方をお話しいただきました。

もくじ
  1. 結城様の略歴
  2. 遠かった足切りライン
  3. なおも四択が課題に
  4. 記述にも問題があった
  5. 終止符を打つ
  6. 後進への助言


■ 結城様の略歴

-- ご経歴からお願いします

結城重治と申します。東京都出身、千葉県在住の67歳です。
9年前に会社を起こし、土木分野の施工管理と設計を行っています。
PC関連を得意としています。

これまで40年以上にわたって、主としてPC構造物の建設に関わってきました。
大手の建設コンサルタント各社に出向した経験もあります。
ODAの仕事ではイラクをはじめ、台湾、スマトラ、フィリピンに赴き、PC構造物の設計、橋梁の補修、鉄道建設などに従事しました。海外業務の経験は、都合8年になります。

-- 昨年の大地震の後は、復旧工事に尽くされたと聞いています

東北地方のある漁港が大きな被害を受けました。
係船施設が流されたため、8月末までの工期で新たに設ける工事の施工管理を依頼されました。

5月の連休、お盆休みはおろか、日曜すら休めない工程でしたが、どうにか間に合わせることができました。

試験当日千葉にいられるのか、現地に行っているかわからない状況の中、諦めようかとも考えたんです。幸いにして、こちらで試験日を迎えることとなり、現場の朝礼に参加した後、東京会場に向かいました。試験日の直前には、現場の中間検査がありました。

ブレーンセンターの講座には2年続けてお世話になり、ようやくのことですが、念願を果たすことができました。

■ 遠かった足切りライン

-- 受験の動機、きっかけになったことは

元の会社の上役にあたる方の指導を仰いできました。
そのコンクリート工学博士の勧めで、RCCMの資格を取得しましたが、診断士も同じように勧められたものです。

最初に受験したのは、もう、ずいぶん前のことになります。
仕事を優先してきましたので、その間ずっと受験したわけではありません。
仕事の都合で受けられない年もありました。
何がなんでも合格というのではなく、きちんと中身を理解することが重要だと思ってきました。

何年もかかりましたが、この資格が必要と思えたのは、施工管理の仕事では不具合への対応がつきものだからです。
より良い品質の構造物を手がけるには、変状と補修に関する知識、経験を蓄えておかなければと感じていました。

-- 受講前はどんな準備をして試験に臨んでいましたか

仕事が先という信条がありますので、試験のためだけの勉強をすることはしませんでした。
実地に受ける試験こそ本当の勉強と考え、毎年の試験をそのように位置づけていました。
この点は、普通の受験者とは異なるかもしれません。

何度も跳ね返されてきましたので、難しい試験だとはわかっています。
わたしの場合は、なかなか四択の得点が上がらず、足切りラインを越えられずにいました。
初めて受験したときは、半分も正解できなかったほどです。

よくできた問題で、4つのうち、2つまでは判断がつくものの、残りの2つが微妙なんです。
苦手な試験機器の細かい部分や、化学式では苦労しました。

記述に関しては、解答用紙を全部埋めていましたので、本講座を受講する前は、四択さえどうにかすれば合格できると思っていました。

■ なおも四択が課題に

-- 講座を受講することにしたのは

実はそれも、先ほどの方の勧めなんです。
講座の内容をご覧になって、わたし向きのいいのがあるぞ、ということで勧められました。

コンクリート工学博士が言うくらいですからね。
'10年4月のJCI講習会が終わった頃に申し込み、講座での勉強を始めました。

-- 教材の印象は

四択の問題数が非常に多く、系統立ててまとめられているため、取り組みやすいと思いました。
苦手分野を克服していくのに、攻めやすい作りになっていると思います。
それと重要なことですが、解説が非常にわかりやすい。

記述の方は、後日談ですが、2010年、11年とも、実際の試験の問題Bが、講座の問題に似ていると思いました。そのことは、試験中に気がつきました。
そんなわけですから、記述で切られることはない内容だったと思っています。

-- 2年続けて受講することになったのは・・・

四択のポカです。
'10年の試験では、間違ってはいけない問題を3つ落としました。

ひねりに対応できないことがウィークポイントだと思っていましたが、何でもない問題を落としてしまいました。この取りこぼしが大きかった。

ことしも2つ落としましたが、すれすれのところで引っかかっていたようです。

今回は記述の問題Aで、高度成長期絡みのことが問われました。
われわれの世代には有利な出題です。
この好機に、四択1問の不出来で落ちたのでは、悔やみきれないところでした。

■ 記述にも問題があった

-- 講座では答案を提出されましたか

前述のように'11年は復旧工事にかかりきりで、試験準備の時間はほとんど取れませんでした。

弱いところに集中しましょうという助言にしたがい、最後の勉強時間を四択対策に集中しました。
記述に関しては、前年の受講時点で自信を深めていたこともあります。
先生のアドバイスも、それをふまえてのことだったのでしょう。

忘れられないのは、 初めて答案を提出したときのことです。
勇んで提出しましたが、手ひどい酷評をいただくことになってしまいました。

-- どうして、そんなことに・・・

まさかすぐに添削してもらえるなどと思っていません。
忙しい身ですから時間があるときに、まとめて3問分の解答を作り、続けて提出しました。

講評が上がっていることを知らずに、続けて送ってしまったんです。
少なくとも3日、4日はかかるんだろうと思っていました。

ところが、先生の講評は何しろ早いんです。
間一日、夜提出すれば、つぎの晩には上がってしまいます。
びっくりしました。

何色かのマーカーを使って講評してくれますが、最初の答案は、塗りつぶされていないところがありません。同じ書き方をした2つ目、3つ目も同じでした。
講評を読まずに提出しても時間の無駄になると、厳しい言葉で括られていました。

-- 講師の言葉には納得できましたか

要点をビシャッと指摘されますので、いい悪いがダイレクトにわかります。

全然違います。まったく違っていました。
自分が書いていたのは、独りよがりなものだと思えました。

テキストの序文を手本に、総論的な解答を展開していましたが、先生が言われるように、出題者もそんなものは期待していない。

肝心なものをポンと出さないと、得点にはならない。
そのとおりだな、と思いました。

あとは早いですよね・・・

それまでの答案では、四択の得点がどうであれ、合格できるはずなどなかった。
書き貯めておいた腹案も、段ボールに一箱ありましたが、何の役にも立ちませんでした。

今までやってきたことは何だったのかと・・・、それほど新鮮な指導内容でした。

わたしにとっては、'10年からの2年間が本当の試験で、それまでのことは、試験も何も、なかったと同じではないかと思えました。

-- カチンとくることは・・・

当たり前のことですから、しょうがない。
そんなことは、全然気になりませんでした。

それより、すぐに直していただけるので、極端に言えばマンツーマンと同じ。非常にありがたい。

まだ、ほやほやの状態で評価を確かめるのと、一週間くらいして冷えてしまった後とでは、レスポンスというか、どれだけ順応できるかということが違ってきます。

もっと早く参加しておけばよかったと思いました。

■ 終止符を打つ

-- 今回は四択対策に集中した、ということですが

勉強時間を作れるようになったのは、5月、6月になってからです。
6:30には家を出るので、4:00に起きて四択の復習をしました。

変化をつけた問題がたくさんあり、10問ずつ何セットもありますので、1つの分野を順々に解答していきました。10問やった後で、間違った問題は、もう一度見直すようにしました。

点を取れる分野とダメな分野がハッキリわかるので、どこに力を入れるべきかよくわかる。
8割できる分野は終わりにして、5割そこそこの分野を潰していきました。

講評の説明もそうですが、四択の解説もわかりやすい。
過去問の解説を読むだけの勉強と違い、講座の問題を消化すると、自信がついてくるんです。

試験では、またしても7割に届きませんでしたが、今度は足切りラインをクリアしました。
1問、2問の違いが本当に大きいと思います。
わずかな差で足切りされている人は、案外多いのではないでしょうか?

-- 記述のやり残し、不安はありませんでしたか

不安がなかった、とは言いません。
何が出るかわかりませんし、ちょっとつまずけば、書けないこともあります。

でも、講座で勉強していると、問題を見て解答のイメージが沸くようになるんですよね。
ぱっ、ぱっと、すぐ反応できる。

どういう順番で書いていけばいいのか、すぐにイメージできます。
何と言っていいのかわかりませんが、図表にしろ、写真にしろ、全体がよく見えてくるんです。

講座の説明どおりに書けばいいと思って臨みました。

'10年の受講時には、200字程度の短文のパーツをたくさん作りましたので、それを引き出しに解答することも考えていました。

ドンピシャともいえる出題だったのは、幸運でした。

・・・

このような状況で合格できるとは思ってもいませんでした。
インターネットにある自分の受験番号と、受験票の番号を何度も見比べたくらいです。

周りもみな、驚いていましたが、懲りずに挑戦していたことを知っている家内が、いちばん喜んでくれました。

■ 後進への助言

-- 合格するために、いちばん肝心なことは?

四択が通らないと、先には進めません。
幅広く出題されますので、十分に、数をこなすことだと思います。

テキストをよく読め、という方はたくさんいますが、読むだけでは難しいと思います。
テキストの内容を確認しながら、問題数をこなしていく方が伸びると思います。

-- 記述については

問題を見て、ぱっとイメージが出てくるようにしておくといいですね。
そのためには、やはり、ある程度訓練する必要があると思います。

出題の意図や、解答順序といったことを理解していることが重要です。

講座では、非常にわかりやすく指導していただけます。
例文を書いてくださったり、皆さんの解答も参考にできます。
どう考えるべきか、解答方針に悩んだときは、大いに利用させてもらいました。

この他、手書きの練習をしておくことも必要です。
'10年時には、土日を利用して、空調の利いた図書館で手書きの練習をしました。
そうした訓練もしておかないと、いざというとき、手がついて行きません。
実際の話、新聞でもよく目にする漢字を書けずに、間違ってしまいました。

-- 最後につけ加えておきたいことがあるそうですね

復旧工事の仕事では、現地の若手所長に大変、お世話になりました。
この方も、'11年度試験を受験していたので、意気投合しました。

残念ながら、揃って合格とはいきませんでしたが、この講座をご紹介させていただきました。
次は頑張って、合格してほしいと願っています。


お忙しい中、有り難うございました。


※ 取材日時 2012年2月
ブレーンセンターは、コンクリート技術者の資格取得を応援します。